• 駅では

  • 待ちくたびれただれかの

  • 影がたくさん

  • 重なって、

  • 夜を局所的に作っていた。

  • ほんとうの意味で

  • 冬がきたと

  • いうならば


  • 全部死ななければならないと

  • 地球だけが

  • 知っている。

  • 地球は

  • たくさんの

  • 氷河期と

  • 絶望を

  • 見てきたんだ、


  • きみの自殺や、

  • きみの絶望を

  • 鼻で笑うよ。

  • ぼくも、

  • 地球と共感

  • したいから

  • まずは50億年

  • 生きたい。


  • きみのこと

  • くだらないと

  • 思っている。

  • ドラマが始まって、

  • 電話を切って、

  • テレビを

  • 見ている間、

  • たくさんの


  • 電車が

  • 右往左往している。

  • 運ばれているのは

  • 空気と

  • 細菌で、

  • それから

  • ついでに人間たち、

  • 衣服とかばん。


  • 目を見ている間、

  • その人の

  • 指先や

  • 足が

  • どう動いているのか

  • わからないのが、

  • 憎くて

  • 堪らない。


  • だれにも

  • 負けたくない。

  • だれの絶望にも

  • 負けたくない。

  • きみのことを

  • 無視していたい。

  • 春が来て、

  • 溶けた山やビルが、


  • 海に混ざって、

  • まただれか

  • 生き物を作るんだろう。

  • かわいそうだ。

  • そんなことをしている間は

  • いつまでたっても、

  • ぼくらは

  • 不死身になれない、


  • 自殺とか絶望とかの話題に事欠かない。

  • 死んだやつは生きているやつに永遠に勝てないのに、

  • 生まれてくるからだれか死ぬんだ。

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本企画は、界遊005号「選択と削除」の為に制作されたものです。
最果タヒ氏の書き下ろしの詩「50億」を題材に、大楠孝太朗がグラフィックシリーズ「FRAGMENTAL IMAGE」で制作したものです。
「FRAGMENTAL IMAGE」とは詩に登場するワードを恣意的に抽出し、その言葉をGoogleイメージ検索にかけ、検索結果の画像をコラージュの素材として使う作品です。
その一つ一つが意味を持った言葉の集合体である詩を、インターネットやコンピュータの数値化されたアルゴリズムに通すことで物語を解釈し、グラフィックで表現しています。最果氏の詩「50億」と共にご覧下さい。

Googleイメージ 画像検索日時:2011/1/16 19:59-22:03 [セーフサーチ:オフ]
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